今週の担当、Light
食料はなんとか手に入れたものの、一晩過ごせるような場所が無い。仕方なく砂浜に寝転ぶか。でも、とてつもなく恐ろしい生き物がこの島に住んでいてもおかしくない。夜寝ている間に襲われるかもしれない。そんなことを考えていると、怖くなってきた。やはり、寝床を確保するべきだ。
島を一周してきたときに拾った枝と石だけでは作ることができない。もう一度島をまわってみよう。体を少しでも温めるために小走りで探し始めた。十分集めただろう。砂浜に戻ろう。
僕は、試行錯誤しながら初めて自分で寝床を作った。無心で作っていたからそう長くは感じなかった。手を見るとマメだらけだった。痛いなと思ってもここには応急処置がない。つまり、どうしようもないのだ。
疲れが溜まっていたのだろうか急に眠たくなってきた。もう寝よう。そうして、僕は瞼を閉じた。
砂浜をサクサクと歩くような音で僕は目が覚めた。島に人がいるわけがない。ならこの足音はなんだ?その足音が通り過ぎるまで息を殺すことにした。サクサクサクサクサク。足音はどんどん大きくなっている。最後に耳もとで、サクッと音がした。僕の横で音が止まったのだ。恐る恐る横をむくとピエロの仮面を被った人が立っていた。僕は顔がこわばった。ピエロは僕の腕を掴んだ。
「お前は今自分の状況がわかるか?」
ピエロは低く圧のある声で僕に問いかけた。わけがわからない。何が起こっているのかなんて、わかるわけがないじゃないか。僕は黙っていた。
「そりゃそうだろうな。お前は何もわからずに今ここにいる。今から俺が質問したことにかんで答えろ。お前は自分が今、生きていると思っているか?」
は?何を言っているんだ。僕は質問に答えていないぞ。なのになんで俺の考えていることがわかったんだ。待て待て。一旦落ち着こう。確か今質問されたのは僕が生きているかどうかだよな。
「そんなの生きているに決まっている。今だってこうして話しているだろ。生きているかどうかなんて、聞くまでもない。というかなんで俺の考えていることがわかったんだよ。かんか?」
僕は少し怒った口調になった。こいつと話しているとなぜかムカムカする。
「生きていると思っているのか。そうか、哀れだな。」
ピエロは嘲笑した。
「僕の質問にも答えろよ。」
ピエロは深いため息をついてから笑い出した。
「ハハハ。答えてやるから焦るなよ。俺はな、お前の心が読める。なんでと言われたらそれは難しいな。俺は人間の姿をしているだけ中身は人間じゃないんだよ。」
人間じゃない?僕は哀れ?さっきから何を言っているんだ。こいつは一体何者なんだ。僕は死んでいない。そうだろう。ここに来る前僕は何をしていた?何も思い出せない。僕は急に頭に激痛が走った。最後に見えた景色はピエロの顔だった。
使用した語句 とてつもない 錯誤 無心 息を殺す こわばって